歯のエプロン(ラバーダム防湿)
なぜ歯にエプロンをするの?
①治療中の歯の唾液の感染を防ぐため。
②歯科で使う薬を飲みこませないため。
③器具の飲み込みを防ぐため。
④歯以外の組織(くちびる、舌、ほっぺなど)を傷つけないため。
歯を削る機械はとてもよく切れます。子どもが不意に動いたりすると、とても危険です!お子様の安全のためにも『歯のエプロン』をしています。
数回トレーニングを行っても治療ができないお子さんや、急性症状があり早急な処置が必要な場合は、安全に処置を行う為に保護者の同意を得てから抑制下での処置を行っています。体は抑制具やバスタオルで、頭部は人が固定します。タオルで体を包んでから抑制具を使用しますので、体に食い込んだり過度の力がかかったりせず、人の手で体を押さえるよりもお子さんに負担はありません。
モニターを足の指に付け、血中酸素飽和度と脈拍数を測定しながら治療を行います。
体動が収まり抑制具が不必要となった場合は、治療中でも随時抑制を解いていきます。
治療に慣れてくると、抑制が不要になるお子さんがほとんどです。
当科では、小児に多く見られる症例について小手術を行っています。
過剰歯
通常の数より多く歯ができることがあり、これを過剰歯といいます。過剰歯はさまざまな形や大きさ、方向があります。当科ではレントゲン写真撮影等によって抜歯を行う時期や方法を検討し、なるべくお子様の負担とならないよう配慮しています。
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前歯部分に出てきた過剰歯
粘液囊胞
粘液囊胞とは下唇などに半球状の膨らみができ、しぼんだり膨らんだりするものです。
これは、唾液が何らかの理由で溜まってしまうことにより発症します。唾液を作る部分を含めて取り出す処置を行います。
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下唇にできた粘液囊胞
小帯の異常
舌のつけ根に付着しているスジ状のものが舌小帯です。舌小帯の位置に異常があると運動制限を生じて発音などの機能障害を起こす場合があります。当科では年齢や症状により切除するかどうか検討していきますが、手術のみでは改善が不十分となることがあるため、舌を動かす練習を含めて指導を行っています。また、舌小帯の他に上唇小帯についても処置を行っています。
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舌小帯の異常により舌が上に上げられない状態
当科では、咬合誘導(正しい永久歯列をつくっていくこと)に関しては、定期的に症例検討会を行い、治療方針を決定しています。
歯並びや咬むことの異常は様々な理由により引き起こされます。
①歯の異常:過剰歯、先天欠如歯、歯冠形態の異常(矮小歯、癒合歯など)
②萌出の異常:異所萌出、低位乳歯、埋伏歯
③軟組織の異常:上唇小帯・舌小帯付着異常、歯肉の肥厚
④口腔習癖:吸指癖(指しゃぶり)、口唇癖、咬爪癖、異常嚥下癖、舌突出癖、口呼吸
お口周りの筋肉や、舌の位置が悪いことによって咬み合わせが変化していることがあります。
そんな時は、お口周りの筋肉トレーニング指導を実施することがあります。
また、舌の位置が悪い場合、舌トレーニングや装置を使って舌の位置を正しくする方法があります。
装置を使った症例
反対咬合治療前
反対咬合治療後
お口周りのトレーニングの例
舌の位置(スポット)練習
舌に力を入れる練習
舌で口角や口唇をなめる練習
頬っぺたを膨らまし練習 etc.
保隙装置:歯がない部分の隙間を保つ装置
保健適応の装置・・・模型画像(クラウンループ、バンドループ)
保健適応外の装置・・・模型画像(Nanceホールディングアーチ、リンガルアーチ、可撤式保隙装置、ディスタルシュー)
外傷歯治療前後
治療前
治療後
Nakajima T et al.: Pediatric Dental Journal. 27: 109-113, 2017.
平成30年度 日本小児歯科学会 町田賞 優秀論文賞
乳歯冠治療前
乳歯冠治療後
近年、萌出障害を理由に近医よりご紹介いただくことが増加しています。早い時期に対応したほうが、良好な成績が得られますので不安なことがあれば早めにご相談ください。
治療前(9歳1か月)
治療前(9歳1か月)
治療後(12歳5か月)
治療後(12歳5か月)